ARTISTS AT 5 / Ryan Gander

ロンドンを拠点に活動するアーティストのライアン・ガンダーが、今夏パリで開催された展覧会”Three Young American Artists?”に合わせ刊行された作品集。

世界中のアーティストの5歳頃のポートレイト160点を集め、ガンダーが関心を抱く時間の理解、歴史的な可能性の分岐、「もしも」の未来など、幼少期の無邪気さを考慮に入れながら、未来の自分を認識する前のアーティストを取り上げることを目的としている。

幼い時から威風堂々とした佇まいのアレクサンダー・カルダーをはじめ、ラグビーボールを抱えたローレンス・ウイナー、個性的なサングラス姿のペーター・フィッシュリ、キリリとした顔でクレヨンを持つジェフ・クーンズ、粋なバットマン姿のトム・サックス、神童顔のオラファー・エリアソン、子供の時から変わらない笑顔のヴォルフガング・ティルマンス、たくさんのフィギュアに囲まれたKAWS。日本からは杉本博司やホンマタカシらの子供時代の貴重な姿も収録。他にもルイーズ・ブルジョア、ローマン・シグナール、アネット・メサジェ、リチャード・ロング、マリーナ・アブラモヴィッチ、トーマス・ルフ、シンディ・シャーマン、ゲイリー・ヒューム、デヴィッド・シュリグリーなど、20世紀初頭から始まり、21世紀初頭に撮影された最新世代のアーティストまで、日本でも知られる現代美術家や写真家総勢160人分を収録。

それぞれには撮影日と場所がクレジットされ年代順に収録しており、家族写真の技術やカメラに対する考え方の進歩も伺える資料性も高い1冊。1枚の写真からうかがえる佇まいや背景が、後の作品を彷彿させるルーツが垣間見れるのも興味深くたのしめる。