Shin Hamada『Looking at different things / Doing the same thing』
写真家・濱田晋による作品集『Looking at different things / Doing the same thing 』刊行を記念した展覧会をユトレヒトにて開催します。
アートディレクター/グラフィックデザイナーの吉田昌平が主宰する「白い立体」が、今秋立ち上げる出版レーベルの第一弾として刊行する本書は、濱田がこれまで撮りためてきた写真作品のほか、ドローイング、立体作品をまとめた初の作品集です。作品集は、会場にて先行販売いたします。4日間だけの会期となります。ぜひこの機会にお出かけください。
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『Looking at different things / Doing the same thing』に寄せて
写真家・濱田晋の作品集がこのたび刊行される。濱田はこれまで、展覧会やZINEを主体に作品を発表してきた。
その写真にはどれも、重さがあり、距離があり、中心がある。それらがいつも、きちんとある。
そして、彼の眼があえてそれらを排除しているのか、そもそも彼の周りにはそういう“気” が無いのかわからないが、曖昧さや切実さというものが無く、なぜかつねに、光の中心からカメラを構えているのかのような写真を撮る。
写っているものは、履き潰されたスニーカー、 何も語りかけてこない誰かの背中、薄汚れたカバン、どこかの家の窓辺、テーブルの上のコイン、つくりかけの陶芸――。こうして並べてみると、どれも作品の主役にはならなさそうなものたちばかりだが、濱田の写真のなかではこれらはやはり中心に位置付けられている。
その写真にはまた、上がる/下がるという感覚も無い。写真のなかでは、東京タワーもスケーターのスニーカーも等価となって、感覚的な平地が果てしなく続き、無限に広がっているように見える。
本のタイトルは、「Looking at different things / Doing the same thing」。本書のとおり訳すと「異なるものを見ている/同じことをしている」となるそうだ。
写真のなかに限らず、ものも人も、いつもどこでも雑然としているが、しかし確かにそれらは、静かに変遷を刻んでいる。
それらがかたちづくる風景は写真をつくり、写真は都市をつくる。
濱田がとらえたものたちは、カメラに収まるその瞬間に、風景のための主役になっている。光の射す、果てしなく続く平地のなかで、私たちは歩みを進めなければならない。なぜならそこでは、そこら中に散らばった物たちも、異なるものを見つめながら、前へ前へと時間を進めているからだ。
文・林里佐子(編集者)
『Looking at different things / Doing the same thing』
写真:濱田 晋
デザイン:吉田 昌平(白い立体)
発売: 2018年10月1日
仕様:178 x 118 x 14mm / 190頁 / シリアルナンバー・ビニールカバー付き
定価:1,800円+ 税
出版:白い立体 ISBN 978-4-9910388-0-8
<Profile>
濱田晋 Shin Hamada
1987年兵庫県生まれ。主な個展に2016年「それから and then」 (ON READING、名古屋)、2017年「思考の練習」(UTRECHT、 東京)「FIGHT FOR MY RIGHT」(About Life Coffee Brewers、 東京)ほか。雑誌、広告を中心に活躍。東京在住。
白い立体 Shiroi Rittai
主宰の吉田昌平は1985年広島県生まれ。桑沢デザイン研究所 卒業後、デザイン事務所「 ナカムラグラフ」を経て、2016年「白い立体」として独立。アートディレクター/グラフィックデザイナー として、グラフィックデザインを中心に活動。
2018年10月、書籍を発行するレーベルを立ち上げる。一方、字・紙・本を主な 素材・テーマとし、作品を制作。
作品集に『KASABUTA』 (WALL)、森山大道の写真集を素材にした作品集『Shinjuku (Collage)』(NUMABOOKS)。
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